ハンクモブレー
芋テナーと呼ばれた、バップ至上最高に心地よいサックス奏者がいた。隠したってしょうがない。言ってしまうとハンクモブレーのことだ。
私はハンクモブレーが大好きである。彼の優しく力強いサックスの音色や、泉にこんこんと湧く澄んだ地下水のようなフレーズは私の心を掴んで離さない。
そんなわけで、私の大好きなハンクモブレーのレコードを今回は何枚か紹介したいと思う。
1枚目は、おそらくモブレーでは一番有名じゃないかな?ブルーノートの字体と赤色のジャケが特徴的な「Dippin'」だ。二曲目のボサノヴァが有名である。
2枚目はプレスティッジから。Mobley's Message シリーズは二枚あるが、こちらは2枚目。裏面の「I Should Care」というバラードの長い演奏が非常に聴かせてくれる。
こちらはブルーノートのレコード。同じようなデザインのレコードは何枚か出ていて、共演のメンバーがすこし変わるだけだ。こちらはSonny Clarkとの共演。Bobby Timmonsとの共演盤もある。
ソニークラークとの共演盤はまだある。まだまだあると思う。
すぐに思い浮かんだのは、「Dial ”S" for Sonny」映画か何かのタイトルをもじったそう。ソニークラークのデビュー盤じゃなかったかしら。一曲目からかっこいいテーマと、ソニークラークの重ためのピアノがなりまくる。ベースがいい感じだ。
ホーンが三人もいると多少はうるさくなりがちに思えるのだが、そうはならずにすっきりと最後まで良い演奏を吹ききってしまうのが不思議なところ。ダレることもない。
ちなみにB面ではソニークラークの貴重なソロピアノを聴くことができる。この人いつも一人じゃやんないからね。
同じくブルーノートから。あとになってから未発表音源という形で出たレコードだ。メンバーが面白いので買ってしまったが、バックが変わってもフロントの二人はいつもの調子で吹いている。アルバム全体としてまとまった雰囲気だ。ジャケットもかっこいい。
しかし。何曲かはソロを弾いているもののシダーウォルトンに少し元気がないのと、バラードを演奏していないのが残念である。
リーモーガンのリーダーアルバム。でもバックはハンクモブレーである。リーモーガンとモブレーの共演アルバムはいくつかあって、これもそのうちの一つだ。ブルーノートではなくソニーから出ているのはどうしてか。
そういえば、モーガンと演奏したものには他に「Monday night at birdland」というライブ盤もあった。熱気と勢いがすごくい。一曲がとても長くてスピード出して飛ばしすぎだ。若干こういうのは苦手だ。モブレー&モーガンの組み合わせはブルーノートに良いものがたくさんあるので、個人的にはそちらのほうが楽しいと思う。
ジャズメッセンジャーズから一枚。最初のジャズメッセンジャーズでは、フロントのホーンはモブレーだった。ブルーノートにも古い音源が残っている。
ダグワトキンスとホレスシルバーの参加が嬉しい。メンバーを見ればどんな演奏かも容易に想像できる。
ちなみにこのレコードでは「Nica's Dream」という曲を演奏している。私はこの曲が大好きだ。長いソロ、わかりやすいテーマ、微妙なところをついてくるコード進行などなど・・・モブレーも良いが作曲者のホレスシルバーもかっこいい。
ついでに、ホレスシルバーとの共演から一枚。ジャケットはなぜか国連の写真。B面、バラードで「My one and only love」を演奏している。こういう演奏を聴くと、モブレーはバラードへの理解がすごかったんだなぁと思ってしまう。いい演奏である。
最後は、少し変化球を飛ばしてみよう。マックスローチ楽団のアルバムである。実はモブレーはマックスローチと演奏したことも何度かあるのだ。A面の構成が良い。わかりやすいテーマの曲から始まり、勢いに乗せて、最後はバラードだ。バラードが好きなのでバラードばかり言ってしまうが、A面の三曲目。いい曲だ。ケニードーハムのミュートを効かせたトランペットも良い。
さて。いい感じにまとまったぞ、、、、とはいかない。
なんと、ここに紹介できなかったアルバムが少なくともあと20枚くらいはある。まだまだモブレーのアルバムはあるのだ。思いつくだけで、ワンホーンでやったSoul Station、リー・モーガンとのPeckin' Time、有名なメッセンジャーズのVol.1~Vol.3、グラント・グリーンとの共演、Another Workout・・・まだまだある。ドナルド・バードやフレディ・ハバードのサイドメンバーでの参加など・・・・
こんな具合で、ハンクモブレーを追っているだけでバップの楽しさをわかった気になれるのである。
ジャズの奥は深い・・・なんて軽く言ってみるけれど、本当に深いのである。本当ですよ?(笑)
興味を持ってくださり、上にあげた中から一枚でも聴いてくださる方がいらっしゃるのなら、それは非常に嬉しいことです。
ではでは