catenary’s blog

かなり危険な位置に立ってジャズを聴く人。常識から外れた目線でジャズについて書いてるので、話半分に。

ギタリストのこと

最近好きで聴いているのはグラント・グリーンの「Idle Moments」

近所のひっそりとした通りにある小さな喫茶店で、マスターがひょいと取り出したレコードだ。

 

数年前までは喫茶店として営業していたところだが、最近はマスターも高齢になりジャズに興味のない客も増えたとかで店を閉じてしまったらしい。

入り口の扉に「冬眠中」の札がかかっていた。

 

僕がぶらぶらと、買ったばかりのレコードを持って歩いていたのを見かけて店を開けてくれたということだ。

 

ジャズ喫茶と言わずに営業していたせいか、店の情報はインターネット上にはほとんど上がっていない。

あまり大きく宣伝しなかったのは、ジャズ喫茶の営業を趣味の延長で楽しみたかったからなのかもしれない。

 

でも、店に入ると壁にずらりと並んだレコードと、あちこちにディスプレイされたポスターが僕を迎えてくれた。

スピーカーは真空管のアンプに繋がれている。完全に、本格的なジャズ喫茶である。

 

マスターは「平日の朝からジャズを聴く人があらわれるなんて、今日は変な日だなぁ」と目尻にシワを寄せて笑っていた。

それからふと真面目な顔になって、僕に「ジャズってのはね、夕方、日が暮れてから・・・」そしてまた楽しそうに笑った。

 

 

 

さて、グラント・グリーンケニー・バレル。どちらもブルーノートの伝説ギタリストだ。

「こんなメロディーがあったら素敵だなぁ」と我々が思っているメロディーを、指板上で次々と繰り出してしまえるギタリストがケニーバレルなのだと僕は思っている。羨ましい限りである。彼の演奏するブルースな曲を聴いているとそんな気がする。

 

グラントグリーン、まだ僕は数枚しかアルバムを聴いたことがないのだけれど、そこから気づいたことがある。

 

グラントグリーンはたぶんいくつかのフレーズ回しや指の動きが持ち札としてあったのだと思う。ケニーバレルもそうかもしれないけれど、彼の場合はその独特の運び方はうまい具合に即興のフレーズに溶け込んで、我々にはちょっと聴いたくらいじゃわからないようになってしまっている。グラント・グリーンはちょっと違う。グラント・グリーンの持ち札はもっと分かりやすい。だから彼がその場で、ある意味、いきあたりばったりに弾いたフレーズが際立つ。その持ち札から自分なりのソロを展開させていく瞬間がとても綺麗に見える。

 

少なくとも、僕は二人のそれぞれそんなところに魅力を感じていると思う。

 

あくまで超個人的意見だ。

音楽において個人的な意見を述べるのはかなり勇気のいることだ。意見の合わない人も多いから。

だから、僕と意見が全然合わない人がいたとしても、それは全然問題ないと思う。

一方で、もし僕と同じ意見の人がいたとすると、それはまた嬉しいことだ。ありがとう。